PCR法を開発しノーベル賞を受賞した「マリス博士の奇想天外な人生」

マリス博士の奇想天外な人生読んで良かった本

随分とご無沙汰してましたが、みなさんお元気ですか?

私は海・山・川に囲まれた地にいることを活かして常に自然と触れ合い、コロナ騒ぎから距離をとって健全に暮らしています(^-^)

そんな中、PCR法の開発者キャリー・マリスさんの本を読んで、めちゃくちゃ興味深かったので紹介しますね。

PCR法の開発者キャリー・マリス

キャリー・マリス - Wikipedia

キャリー・バンクス・マリス(Kary Banks Mullis, 1944年12月28日 – 2019年8月7日[1])は、アメリカ合衆国の生化学者。ポリメラーゼ連鎖反応 (PCR) 法の開発で知られ、その功績により、1993年にノーベル化学賞及び日本国際賞を受賞した。

Wikipedia キャリー・マリスより

マリス博士はPCRをウイルス感染症の検査・診断に使うべきでないと言ってたとか言ってないとか、そんな重要な人がコロナ流行の直前に急死してしまったとか、そういう話を見聞きしてどうしても興味を惹かれてしまう私。

そしたら図書館にこんな本があるのを発見!

自伝「マリス博士の奇想天外な人生」

マリス博士の奇想天外な人生

表紙を開いたカバー裏にある前書きにはこんなことが書かれています。

天才の頭の中ってこんなにヘン!

マリス博士は、ノーベル賞までもらった世界最高頭脳の持ち主。彼が発見したPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)は、相対性理論やDNAの発見とならんで、20世紀最大の科学的業績の一つに数えられるもの。でも博士は一方で、無類の女好きでサーフィン狂、そしてLSDの常習者としても有名なんです。

「史上最も身持ちの悪いノーベル賞受賞者」の異名を持つマリス博士はこの本で、デートの途中でPCRを思いついたこと、ノーベル賞授賞式直前にいたずらをして逮捕されそうになったこと、LSDによるトリップ体験、超常現象、恐怖の毒グモとの戦い、アブナイ実験に明け暮れた学生時代の思い出など、その型破りな人生をユーモアたっぷりに語ります。クリントン大統領から宇宙人まで登場するスーパー化学者の自伝、待望の刊行!

さらにめくると、自由奔放な人なんだろうなぁと伝わってくるお茶目な写真が十数点並んでいて、「こりゃあもう絶対面白いヤツだわ」とワクワクしながら読み進めました。

ちなみに目次を紹介すると

  1. デートの途中でひらめいた!
  2. ノーベル賞をとる
  3. 実験室は私の遊び場
  4. O・Jシンプソン裁判に巻き込まれる
  5. 等身大の科学を
  6. テレパシーの使い方
  7. 私のLSD体験
  8. 私の超常現象
  9. アボガドロ数なんていらない
  10. 初の論文が《ネイチャー》に載る
  11. 科学をかたる人々
  12. 恐怖の毒グモとの戦い
  13. 未知との遭遇
  14. 一万日目の誕生日
  15. 私は山羊座
  16. 健康狂騒曲
  17. クスリが開く明るい未来
  18. エイズの真相
  19. マリス博士の講演を阻止せよ
  20. 人間機械論
  21. 私はプロの科学者
  22. 不安症の時代に

といった具合で、見てわかる通り難しい科学の話で埋め尽くされてるわけではなく、すごく読みやすい内容でした。

自由奔放で愉快なおじさん

目次でもかなりぶっとんだ人ってわかると思うけど、その内容を読むとまた面白い!

ノーベル賞の授賞式ではスウェーデン国王夫妻に「自分の息子を婿に」と売り込んだり、クリントン大統領に直接マリファナ吸引疑惑を追及しようとしたり、日本国際賞(そんな賞、私は知らなかったけど)授賞式でも皇后陛下に「スウィーティ(かわいこちゃん)」と挨拶して普通にガンガン話しかけたり。

他にも数限りなく出てくるエピソードから、本当に自由でやんちゃな人だと伝わってきます。仕事も遊びも一緒くたで楽しみつつ、お金はちゃんといっぱい欲しい!みたいな。

読んでいるとヘンな愛着がわいてきて、ハタから見る分にはホントかわいいしうらやましさも感じるんだけど、この人の嫁や彼女が務まるか、家族だったらどうかと考えるとちょっと無理!って思ってしまうタイプです(^_^)

割とスピリチュアルなおじさん

様々な超常現象を体験していて、科学で解明できなくても本当に体験したんだから仕方ないと素直に受け入れる姿勢とか、星の影響を信じて占星術にハマったりするところとか。

言葉の端々に何かわからない大いなる存在?宇宙?と人の関係をかなりスピ的に捉えている印象を受けます。

人類ができることと言えば、現在こうして生きていられることを幸運と感じ、地球上で生起している数限りない事象を前にして謙虚たること、そういった思いとともに缶ビールを空けることくらいである。リラックスしようではないか。地球上にいることをよしとしようではないか。

こんな言葉がなんか暖かく心にスッと入ってきました。

一方で現実社会には鋭く斬り込むおじさん

私的には「10 初の論文が《ネイチャー》に載る」あたりから特に面白く感じるんたけど、この章も「載って嬉しい♪ヒャッハー!」って話じゃなくその逆。

この業界はどうなっとるんや!てかこの社会もめちゃくちゃやんけ!的な切り口で、ハッとする事実にビシバシ斬り込んで行くんですよね。

しかし、政治家や政府職員が、一般人の幸福を守るため、責任感に燃えてがんばってくれていると考えるのはあまりに単純すぎる。たとえ仰々しい名前を冠した非営利団体ですら、利他的、博愛精神にもとづいて私たちのために働いてくれているとは思えない。
私は、彼ら(公的科学研究機関)の言うことを信じないことこそが正解に思える。彼らが「大丈夫、いつでも皆さんの味方です」と言うのが本当であったためしがない。
しかしいまや、科学における象牙の塔は腐敗している。それは官僚組織が科学を職業化し、運用することによって、経済的なメリットが生み出されることに気づいたからである。

などなど…

先日無事院試に合格し、博士を目指して科学者の道を邁進する息子のことが心配になるような本でもあります(^_^;)

ちなみにこういった話の流れの先の「19 マリス博士の講演を阻止せよ」も、きっとこんな話だろうなぁという読み手のずっと斜め上を行ってて超面白いので必読です。

また、

人はたくさん食べれば太り、食べなければやせる。ダイエットに関してこれ以上の真実はない。物事の本質を見直すべきである。そうすればたわごとに惑わされずにすむ。きちんとした論理にもとづいたことだけを信用しよう。そうすれば、たとえ暗闇から栄養学者が著書を片手に遠吠えしようとも、安眠することができるのである。これが基本である。今すぐそんな本は捨ててしまおう。彼らの言うことなんか聞く耳を持たなくていい。そうすればぐっすり眠れるのだ。

といった風に、みんな自分の頭でちゃんと考えるんだ!と啓発するような言葉もたくさん出てきてハッとします。

まぁとにかく1回読んでみて

そんなわけで、2000年に発行された20年前の本だけど今読んでも意味深い側面もあり、単純にめちゃくちゃ面白い人の話でもあり、おすすめです。

2004年には文庫本も出てるみたいだし、

私のように図書館でみつけて借りて読むのもいいと思います。

個人的には文庫版買って手元に置いといて時々読もうかなと思ってたりするけどね(^-^)

そんなわけで、久しぶりの更新記事をあなたに読んでもらえて嬉しいです♪
本当にありがとう(^人^)それではまた!

※この記事の2年半ほど後に文庫本を買って、新たに気づいたことなどを記事にしたものがこちらです↓↓↓

「マリス博士の奇想天外な人生」再び。
2020年に図書館で借りて読んだ「マリス博士の奇想天外な人生」をもう一度読みたくて文庫本を購入。前に読んだ時とはまた違った発見がいろいろとあり、超おすすめ本なので再び紹介します。

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