神社で名付けしてもらった私が、その宮司さんを大尊敬している理由。

宮司さん自分らしく

おじいちゃんやおばあちゃん、あるいはおじさんおばさんなど、いつも心のどこかに居て思い出すと温かい気持ちになったり、自分の考え方に大きな影響を与えていたり、心の支えになったりしてくれる存在っていますか?

私にとって一番のそれは父、次はおじいちゃん、そしてその次は親戚でも何でもない、ある宮司さんなんです。

今日はその宮司さんの話を書きますね。

宮司さんがどんな人だったか

私の名前を決めてくれた人

私が生まれたとき、私の父と祖父の2人で宮司さんに名付けの相談に行き、3人で名前を決めたそうです。

ご神託で降ろしたのか占い的なものなのか詳細はわからないけど、この子につけると良いとされる漢字の候補はそのほとんどが男の子に使う文字ばかり。

その中でこれは!という唯一の女の子らしい字を使って、今の私の名前が決まりました。私はそんな自分の名前が大好きです。

3人であーでもないこーでもないって相談してるところを想像すると、ますます自分の名前が愛おしく思えてきます(*^^*)。

村長さんみたいな頼れる存在

その宮司さんの神社は祖父の家の地元、氏神さまにあたります。

そこは「山奥の集落」といった方がイメージしやすいくらいのド田舎です。年々人は減っているし、お年寄りばかりの地域なんですよね。

かく言う私の父も10代で田舎を出てるし、その子どもである私も一度も暮らしたことはありません。お正月に遊びに行くおじいちゃんち、そしてその近くの神社、という位置づけです。

そんな田舎では、宮司さんが自治会長さんか村長さんみたいな存在だったらしいです。

隣近所のちょっとしたもめごとの仲裁に入ったり、「〇〇さんを最近みかけない気がするんだけど大丈夫かしら」なんて話を聞いて様子を見に行ってあげたり、そんな感じで地域のみんなに頼られる存在だったと聞いています。

そんな村長的な役割が大きいのと、その地域ではほとんどの人が同じ苗字だったこともあって、みんな神職としての役職名じゃなく、シゲアキさんと呼んでました。

年に数回しかおじいちゃんちには行かないけど、行くとかなりの確率でシゲアキさんの人となりがわかるエピソードを聞いた気がします。

私が宮司さんを大好きな理由

とにかくおおらか

そんなわけで、私がシゲアキさんと直接会ったり関わったりすることはほとんどありません。会うのは親戚身内の葬儀か式年祭(仏教で言う年期法要)くらいです。

式年祭の時には榊やお花、ロウソク、お酒、お米、野菜や果物、お菓子や乾物といったお供えなど、いろんなものを準備しなくちゃいけません。そこで私の父や母が街から準備して行くんだけど、何かしらうっかり抜かってしまうことがあるんです。

しつこいけどそこはド田舎なので、コンビニはもちろんスーパーもまともにありません。うんと昔はあった個人商店なんかもどんどんなくなって行っています。つまり忘れたものを近くでサッと買うってことができないんですよね。

何十分、下手したら1時間近く車で戻って買って来なくちゃいけないので、忘れ物に気づいた時のショックは結構大きいです。祭祀の開始時刻って決まってるし、どうしよう!みたいな。

そんな時シゲアキさんは「かまんかまん、ウチから持ってくるから」と、自宅から取ってきてくれたりします。

どうしても家にもなかったり、開始時刻が迫り過ぎてるときには「まあまあ、なくてもかまんかまん」と言って、そのまま進行したりするんです。

宮司さん

宮司さんがいつも言う言葉

そういう風に何かが欠けていたり、シゲアキさんに持ってこさせてしまったりで申し訳なく思いつつ祭祀を始めようという時、シゲアキさんは必ず

「かまんかまん。大事なのは気持ちじゃあけ。」

って言ってました。

その言葉にいつもみんな救われていたし、それこそ本当の教えのように胸に響きます。

他にも私たち姉妹や私のいとこ姉妹に

「あんたらが将来お嫁に行って、嫁いだ先が仏(ぶつ)じゃったら、それはそれでかまんのよ。ご先祖様の供養をしたりするときに形は何でも良くて、大事なのは気持ちじゃあけ。

といつも言っていました。

信じられないほどのフォロー

そして私は結婚し、ひ孫を見せにという感じでごくたまにしか行く機会がなくなった田舎。

田舎に住む祖父が亡くなり、街に住む父が亡くなり、そして田舎に住む祖母、叔父が亡くなり、ついに田舎の古い家は処分となりました。

ただ、お墓はその田舎にあります。式年祭は普通、亡くなった人の家にある神棚(祭壇)とお墓の両方をはしごする形で祝詞奏上や榊のお供えなんかをするんだけど、家と神棚がないんです。

そしたら何と、シゲアキさんのご自宅の神棚(祭壇)にウチの親戚の御霊を降ろして、そこで祭祀を行ってくれたんです!

普段から村長的な存在で地域の人たちのあらゆるフォローをしているとはいえ、その子どもや孫といった街へ出て行った人たちのことまで、こんな形でフォローしてくれるなんてすごいと思います。本当に有り難くて頭が下がります。

そしてやっぱり、ことあるごとにあの言葉が出ます。

「かまんかまん。大事なのは気持ちじゃあけ。」

宮司さんはいつも心に

そんな素晴らしい人格者のシゲアキさん、数年前に突然の事故で亡くなってしまいました。普段離れているので情報が入って来てなくて、葬儀など全て終わってから知り、ショックでした。

後になってお参りさせていただいたけど、私の名前をつけてくれた大好きな3人とも天国へ行ってしまったのか…と寂しかったです。

その後は娘さんが引き継いでいて、同じようにウチの親戚の式年祭をする時にはご自宅を提供してくださっています。

お宅には叙勲?褒章?詳しくは思い出せないというかわからないけど、そういった式典で撮った燕尾服姿のシゲアキさんのお写真が飾られていて、見るたび複製が欲しいと思ってしまうほど、私にとって大尊敬する、大好きで特別な存在です。

久しぶりに神社参拝

今年の春にも式年祭があり、宮司さんのお宅にお邪魔したあと、久しぶりに神社の方にも参拝に行きました。

小さい頃、おじいちゃんちに遊びに来たとき、たまに行ったことのある神社。神域を散策してどんぐりとか拾ったような気がするなぁ。

狛犬さん「おっ、お前、いつか見た顔だな」って言ってる?(^-^)

狛犬さん

「久しぶりじゃ、よお来たのう」って思っていただけたら嬉しいです。

狛犬さん

拝殿まで行って手を合わせると、神様の声よりもシゲアキさんの「かまんかまん。大事なのは気持ちじゃあけ。」の声が聞こえる気がします。

神社鳥居

神様、シゲアキさん、本当にありがとう。
これからも気持ちを、心を大事に生きていきますね。

そんな今日の記事も読んでもらえて嬉しいです。
ありがとう(^人^) それではまた!

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